1 : 29 : 300

 世の中には、「ハインリッヒの法則」という法則があります。これは、1 つの大事件の背景には 29 個の事件があり、その背景には 300 個の取るに足らない事件があるというものです。今日体験したのは、この 29 に分類される事件です。

 授業中。テストも終わって気が抜けていたせいか、ウトウトと眠り込んでしまいました。で、起きたら妙に脚がしびれているんです。なんだかとっても嫌な予感――。
 とにかくこのままでは動けないので、しびれが取れるように脚を動かしたんです。普通は、あの痺れが取れるときの「あ゛ー」っていう感じ(伝わるかなぁ)が少しあるだけなんですけど、なぜか今回は全然違う。「あ゛ー」っていう感じは全然取れないし、おまけに顔から血が引いていく感じがするんです。サーっと。
 過去に似た経験をしていますから、この辺で何が起こるかは察しました。それでも、なすすべはなく、運命に身を任せるというか、あなたに全てをゆだねますというか、もうあなたなしでは生きていけませんというか、まぁ、そんな感じで結局目の前は真っ白になっていきました。貧血の始まりです。
 しばらくは耐えれば治るだろうという安易な考えでしたが、そう貧血は甘くはありません(変な表現)。目の前のちらつきは一向に取れる気配がないですし、むしろ逆に酷くなっていく気がします。変な汗はかくし、呼吸はあらくなるし、仕舞いには追い討ちをかけるように吐き気も押し寄せてきて、もう何だか全身がエラーを訴えている感じでした。これが本当の「致命的エラー」って奴ですね(おいおい)。
 そのとき、突然それは押し寄せてきて、教室の中で、机の上に、胃の内容物をきれいにぶちまけてしまった…、わけはなくて、急いで教室を飛び出してトイレに駆け込みました。結局トイレの中でしばらくのた打ち回っていたら治ったみたいで、何も汚いことをすることなしに事なきを得ました。人間って、トイレに行ったとたんにケロっと治ったりしますよね。腹痛とか(って、私だけだろうか?)
 後から友人に聞いた話、頭を低くして寝ていたから悪いそうです。なるほど。今度から気をつけなくては。

 ちなみに、前にも 2 回似た経験があるのですが、これを 29 回繰り返すと、きっと命に関わる何かが起こります。

※もっとダークな話が読みたい方は、
http://www.kt.rim.or.jp/~yhayashi/shinuka/9908.html