推論システムにおける「妥当性」という概念
最近では,推論システム関係の文献をよく参照するので,論理学関係の言葉の使い分けがシビアになってきました.
特に,無矛盾性,妥当性,健全性,完全性といった概念は,推論システムに求められる要件であるため,正確に把握しておく必要があります.
妥当性
妥当性とは,システム内で行われる推論そのものが妥当であることをいいます.妥当であるとは,登場する命題の真理値がどんなものでも推論が成立するということです.
妥当な推論と妥当でない推論の例は以下のとおりです.
妥当な推論 ((p=>q) and (q=>r)) => (p=>r) 妥当でない推論 (p or q) => q
前者の場合,p, q, r の真理値の組み合わせが何であっても,推論が成立します.一方で,後者の場合は,p=True, q=False という条件で矛盾が発生します(True => False という推論が行われるため).
このように,推論の妥当性を検証するには,反例の存在を調べれば良いことが分かります.これをアルゴリズムに落とし込んだものがタブロー法です.タブロー法ではあらかじめ推論が成立しないと仮定した上で,いかなる条件でも矛盾が発生することを場合分けによって確かめます.矛盾が発生しない場合は,それが反例になります.
タブロー法については,こちらの文献が詳しいので参考にしてください.
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