分担作業を効率良く行うための手段はただ一つ、水面下での作業を無くすことである。ここで言う水面下での作業とは、物を作ったり動かしたり、あるいは壊したりする物理的な作業だけでなく、想像したり判断したりする精神的な作業も含まれるからややこしい。私はちょうど本職がプログラマなので、プログラミングを例にとってそれを説明しよう。
まず、一人でなく複数人でプログラミングを進める場合、いくつものユニットを何人かで分担し、それを持ち寄ってマスタが束にするという手法はよくとられる。ただ、どうせならサーバを一つ確保して、そこに保存するという形が望ましい。あとは事前に趣旨を明確に伝えることが必要である。
これで一見難なく分担作業が行えるかのように思えるが、これだけでは不十分である。プログラマに限らず、物を作る人には独特のクセがあるもので、それが作品に表れてしまう。従って、分担を言い渡した後、最終的に持ち寄られる作品には―趣旨こそ統一されているものの―微妙なギャップが生じることは当然である。すると、マスタはこれを束ねる作業に、大いに苦労することになる。余計に、生じたギャップを均す作業が増えるからである。
これを解決するには、趣旨だけでなく、各個の水面下の考えを十分に伝え合うことが大切である。幸い最近はコミュニケーションツール*1が豊富に存在しているので、時間の問題さえなければ容易に出来る。
このように、分担作業の効率は、いかに水面下での作業を減らせるかに比例していると考えられる。とはいえ、一番重要なのはこれらの能書きを実行に移せる能力なのであるが。

*1:メッセンジャー、ネット電話など