デジモノ好きの人間が、一体ドコまで可能性を持っているかということを直感的に検証するため、今日はPDAを持ってスーパーに行ってみた。スーパーというと、カゴを腕に掛け、その手でメモを持ちながら、反対側の腕で商品を取って眺める主婦の姿が代表的である。彼女が持っているメモの部分を、私はPDAに置き換えたわけだ。そして計算通り、手の上で黒光りする正体不明の電子機器に、買い物客の視線が釘付けになり、スーパーの中に若いオーラを流し込むことに成功した。
ところが、今回の検証の結果、分かったことが一つある。以前から私は、自分のように特異な感情を持っていなくとも、ドコかしらにPDAを持ち込みながら買い物する人はいるだろうと思っていたのだが、予想に反して誰一人として見かけたことはない。その理由を疑問に思っていたのだが、ようやくはっきりした。つまり、PDAなどというワレモノを持って店内をうろつくのは非常に危険なのである。ましてや今回のような腕にカゴを下げたような状態では、不安定極まりないわけだ。そんなことをしているようなら、多少の機能低下は呑んでも、安全な手帳などの紙媒体を使ったほうが遥かに効率的で、しかも気負いが無いから作業効率も高くなる。
世の中、デジモノを使ったところで便利になるとは限らないようだ。殊にスーパーでは、メモリの中に詰め込まれた「知識」よりも、主婦たちの持つ「知恵」のほうが遥かに揮う。