離散の一人歩き

最近は見境なく「デジタル化」という言葉が持ちいれるようになったので、どこに行ってもデジタルは良いものだという印象を受けている人が多数派を占めている。無論、私もその一人である。つい最近までは授業のノートもPCで取っているという徹底振りであった。
ところが、今はノートをPCでとるようなことはしていない。日常にデジタルを適用すればするほど効率は伸びるのであるが、本質的に良くなったかと聞かれると、そうとも答えられないのである。私の場合、授業ノートをPCで取っていたのであるが、キーを打つことによって書き込む速度自体は上がったのだが、所詮指を単調に動かしているだけであるから、脳自体に書き込まれる量は少なくなった。結果、その回のテストで大損をした。
昔イギリスのある小学校で、算数の初期の段階から電卓のみでの計算を徹底させたところ、大人になったときに数量の感覚がないので借金を作る者が増えた、という話を聞いたことがある。これらの例に代表されるように、デジタルはあくまで「お手伝いさん」として有益であり、物の本質にまで干渉することは好ましくないのである。